大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和44(あ)1769 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人矢吹忠三、同村田友栄、同菅沼政男、同齊藤守一の上告趣意第一点は、事

実誤認の主張であつて、上告適法の理由にあたらない。

同第二点ないし第五点のうち、憲法三一条違反をいう点は、実質は単なる法令違

反の主張であり、判例違反をいう点は、その判例を具体的に示していないものであ

り、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、いずれも上告適法の理

由にあたらない。なお、構成要件にあたる数個の事実が、包括一罪であるか、それ

とも併合罪であるかの判断は、判決書に罪となるべき事実として判示された事実を

もとにしてなすべきものであつて、それ以外の別の事実をもとにしてなすべきもの

ではない。したがつて、原審が、その破棄自判の判決において、第一審判決が、そ

の罪となるべき事実として認定判示した事実、すなわち、被告人が、第一、昭和三

九年二月下旬ごろから同年四月中旬ごろまでの間、東京都渋谷区ab丁目c番地A

荘内B方および同都中野区d町e番地Cマンシヨン二階g号室のそれぞれ当時の被

告人居室において、小型ジユニアコルト二五口径スペイン製けん銃一丁を所持し、

第二、同年四月上旬ごろから同月中旬ごろまでの間、右Cマンシヨン二階g号室の

被告人居室において、小型ベレツター二五口径イタリヤ製けん銃一丁を所持し、第

三、Dほか二名と共謀のうえ、昭和三九年四月下旬ごろ、右Cマンシヨン二階g号

室の当時の被告人居室等において、大型回転式コルト二二口径けん銃一丁を所持し、

第四、昭和四〇年四月中旬ごろ、同都台東区hi丁目j番k号レストラン「E」等

において、小型回転式ロスコ二二口径ドイツ製けん銃一丁を所持したものであると

の事実をそのまま是認して、みずからの判決に引用しながら、右四丁のけん銃に対

する直接の所持は、F、G、Hに移つていた期間があるとしても、昭和三九年四月

- 1 -

ごろから同四一年五月ごろまでの間、被告人の所持が引き続き継続していたものと

認めるのが相当であり、右被告人の所持は、その期間が重複し、かつ、同一場所に

おける同一態様の所持を含んでいるのであるから、全体を包括して一罪と評価すべ

きものであるとして、これを包括一罪として処断したのは、罪数の計算に関する法

令の解釈適用を誤つたものというべきである。しかし、本件は、被告人のみの上告

にかかるものであつて、いまだ刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

同第六点は、量刑不当の主張であり、同第七点は、単なる法令違反の主張であつ

て、いずれも上告適法の理由にあたらない。

よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり決定する。

昭和四五年一二月一五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 関 根 小 郷

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

裁判官 飯 村 義 美

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!